不動産売買における仲介手数料とは~12個のポイントまとめ

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不動産売買の仲介手数料を説明する人

不動産取引を行う際、見積書の諸費用の項目の一つに「仲介手数料」という言葉を目にすることがあると思います。不動産業者さんに支払う費用なのだとなんとなくは理解しているものの、普段の生活の中では聞きなれない言葉だけに詳しい内容を知っている人は少ないです。

不動産売買における仲介手数料とは一体何なのか、どのような費用形態になっているのか、なぜ物件ごとにバラバラの料金になっているのかなど、今回その全てを12のポイントに分けて網羅しました。

これから住宅や投資用不動産の購入・売却を検討している方の参考になればと思います。

1.仲介手数料とは?

まず初めに、仲介手数料とは、不動産の売買・賃貸契約が成立した際に、取引の仲を取り持ってくれた不動産の仲介業者に対して支払う手数料のことをいいます。

「媒介報酬」や「媒介手数料」と呼ばれることもありますが、難しい言い方なので一般的には「仲介手数料」で名が通っています。

この仲介手数料、成功報酬の形態を取っているので(宅地建物取引業法でも、手数料ではなく「報酬」という言葉が使われています)、売買契約が成立してはじめて支払う費用となります。

逆にいえば、売買契約が成立する前や、成立しなかった場合は不動産仲介業者に支払う必要はありません。

 

2.仲介手数料を支払う理由

そもそもなぜ仲介手数料を支払わないといけないのでしょうか。物件価格が高くなるほど仲介手数料も高くなるので(仲介手数料の計算方法については後述します)、契約する側からすれば費用を少しでも抑えたい気持ちは分かります。

しかしながら、物件購入・売却のお手伝いをする宅地建物取引士(旧:宅地建物取引主任者)は不動産取引の仲介業務を行う専門家で、名の通り高度な知識やスキルを求められる士業なのです。

彼ら仲介業者が行う仕事は、

買主側・・・物件の紹介・案内から住宅ローンの申込み代行など
売主側・・・物件の調査・査定、販促のための広告代行など
両側・・・・・日程調整、売買契約書の作成、重要事項説明書の作成など(重要事項の説明は宅地建物取引士にしか出来ません)

このように、不動産取引の一から十まで全てに関わって仲介を行うため、人件費、広告費がかかっています。

以上の業務の見返り報酬として、仲介手数料を支払う必要があるのですね。

 

3.どのような場合に支払うの?

ところでこの仲介手数料、場合によっては支払う必要のないケースもあります。

それには、「取引態様」によって異なります。初めて聞く言葉だと思いますが、難しい内容ではありませんので、次をご覧ください。

取引態様とは?

取引態様とは、一言でいうと「対象となる物件を扱う、不動産会社の立場」のことをいいます。
通常、一般的な商品を購入する際は、売る側と買う側が直接売買を行うだけなので、取引の形は一つです。
しかし、非常に高額でひとつとして同じものは存在しない不動産。売主が不動産業者で買い主と直接契約をする場合もありますが、より円滑・公正に行うために、取引の間に不動産取引の専門業者(仲介業者)が入ることがほとんどです。この場合に仲介手数料を支払う必要があります。

そしてもう一つ、代理という形もありますので、ここはひとつ整理してみてみましょう。

不動産売買の取引態様図
なるほど、手数料がかかるときとかからない時があるんだな。でもどうやって見分けるの?

その指摘、ごもっともです。買う側からすると、どれも同じ不動産業者にしか見えませんよね。

実は一つ、この取引態様を確認する方法があります。

不動産業者は、物件の広告をするときは、その物件の売主なのか、代理人なのか、媒介人(仲介人)なのか記載する必要があります。(宅地建物取引業法34条)
したがって、物件情報のチラシなどを見れば、気になる物件がどのような取引態様の形を取っているのか確認することができます。

 

4.仲介業者が複数入るケースも(両手・片手取引)

取引の間に入る仲介業者ですが、1社の場合もあれば、2社など複数の業者が一つの取引に入る場合もあります。

これはそれぞれの仲介業者が、売主・買主のお客様を別々に持っている場合に起こります。

仲介を行う業者が1社の場合の契約は「両手取引」と呼ばれ、売主・買主の両方から手数料をもらうことができます。仲介業者からすると非常においしい契約となります。

不動産仲介 両手取引図

逆に仲介業者が2社入っている場合は「片手取引」と呼ばれ、売主・買主はそれぞれ自分を担当してくれた業者に仲介手数料を支払うこととなります。

不動産仲介 片手取引図

 

5.仲介手数料はいつ支払うの?

仲介手数料は契約が成立した時に発生するので、本来であれば売買契約が成立した段階で支払うことになります。法律的にも仲介手数料を請求することは認められています。

しかし、不動産売買では売買契約が終了直後に物件の引き渡しや決済が終わっていない場合が多く、売主・買主からすると少し不安が残ります。

そこで、一般的には契約成立時に仲介手数料の50%引き渡し・残金決済時時に残りの50%を支払うようになっています。

場合によっては、引き渡し・残金決済時に全額支払うパターンもあります。

 

6.仲介手数料の計算の仕方

物件にかかる仲介手数料が価格によって異なるのは、独自の計算方法があるからです。

仲介手数料の計算方法は、国土交通省から発表されている正式なものと一般に使われている簡易的なものの2種類があります。

初めに、国土交通省が発表している計算方法をご紹介します。さらっと確認する程度で大丈夫です。

国土交通省告示の仲介手数料の計算方法国土交通省公示の仲介手数料計算方法
%の数値が細かく、扱いづらいですね。

そして次に、こちらが簡易計算方法です。便宜のため普段はこちらを利用しましょう。

売買仲介手数料簡易計算表不動産仲介手数料簡易計算方法

先ほどよりかなり分かりやすくなりましたね。

例えば1000万円の物件であれば、1000万円×3%+6万円=36万円(税別)となります。

ちなみに、計算から出された金額は、仲介業者が片方の仲介を担当したことにより受け取れる上限額となります。仲介業者はこの上限額より高い手数料を設定すると違反となります。上限額より低い料金設定に関してはなんら問題ありません。

また、代理の場合において売主・買主へ請求できる仲介手数料は、上記の計算式で算出した金額の2倍以内に抑えなければなりません。

 

7.気をつけて!土地は非課税、建物は税込み

先ほどの計算表を見て頂ければわかるように、計算するための売買代金の金額は「税抜」となっています。仲介手数料を計算する時は税抜価格で計算しなくてはいけないのです。

計算時に気を付けてほしいのが、物件価格の表示方法売主が誰であるかという2点です。

土地の売買は常に非課税なのですが、建物の場合は売主が不動産業者であれば課税、個人の場合であれば非課税となります。
このため、物件紹介のチラシなどをみてみると、物件価格がまとめて税込金額で表示されていることも多々あるのです。
その場合は税込前の金額に戻してから計算する必要があります。

建物の価格を税込前の金額に戻す計算式
(建物価格-土地価格)÷1.08(消費税分)=税込前の建物価格

 

8.契約が解除になった時はどうなる?

一度契約を結んでしまった後でも、様々な事情によって時には契約を取りやめたいという場合も出てくるでしょう。

そのような場合でも、仲介手数料は支払う必要があるのでしょうか。それぞれのケースをみてみましょう。

ローン特約・買い替え特約の場合

物件を購入するためには、恐らくほとんどの場合で住宅ローンや不動産投資ローンを組んで売買契約を結ぶことになると思います。

しかしながら、金融機関から融資が下りなかったとすると、契約を結んだにも関わらず代金の支払いが発生して大変なことになりますよね。

この事態を防ぐために、ローンを組んで売買契約を結ぶときは、「ローン特約(融資利用の特約)」が設けられ、融資が下りなかった場合にその売買契約を白紙解除する特約が設定されるのです。

したがって、ローン融資が通らなかったことを原因とする解除は、契約が初めからなかったことになるので、仲介手数料を支払う必要がありません。

同様に、現在住んでいる住宅の売却資金を元に新たな住宅を購入するにも、買い替え特約が設けられます。この特約も白紙解除の効力を持っています。

手付解除の場合

ローン特約などの特約がない場合でも、契約時に支払った手付金という証拠金を放棄(買主からの解除申し出の場合)することによって、契約を解除することができます。

※この解除は白紙解除とはならず、特に仲介を行った不動産業者に問題がなかった場合は仲介手数料を支払う必要があります。

その他の理由による解除の場合

瑕疵担保責任による解除、当事者の合意による解除など、その他の理由によって売買契約が解除になるケースがありますが、その原因はケースバイケースとなり、弁護士などに相談する必要があるでしょう。

 

9.仲介手数料のナゾ

6.の「仲介手数料の計算の仕方」でも述べたように、計算式から算出される金額は「上限額」であって、当然のごとくその金額を請求してもよいという訳ではありません。ところが、不動産という特殊な業界のせいか、上限金額を請求するという慣習が続けられてきました。

この慣習に風穴を開けたのが、新規参入した不動産会社です。大手不動産会社との差別化を図るため、仲介手数料を半額にしたり、場合によっては無料にするとアピールする所も出始めています。

仲介手数料を割り引いている業者がしっかりとした業務を行ってくれるかどうかは別問題になりますが、いずれにせよこのような動きは売主・買主にとって歓迎すべきでしょう。

 

10.仲介手数料の値引きのおはなし

前項の続きの話となりますが、逆にこちらから値引き交渉をするとどうなるのでしょうか?

大手は値引きなし

大手不動産会社やその販売・仲介会社で値引きに応じることはまずありません。会社の方針でもあり、営業スタッフの全員が宅地建物取引士であるなどサービスの質も安定して高いのが理由です。

それ以外は交渉の余地あり

大手以外の不動産会社では、大手に対抗するため値引き交渉に応じる可能性は十分にあります。しかし、以下に述べることに十分注意して下さい。

安易に値引き交渉すると・・・

仲介業者の商品は「仲介サービス」であり、そのサービスを提供しているのは一人一人の営業スタッフさんです。

仲介手数料を値引くということは、あなたを担当した仲介業者さんがしてくれる・してくれたサービスに不満があるということです。値引き交渉の話を持ち出すことは相手を否定することにも繋がりかねません。

相手の機嫌が悪くなる可能性は当然ありますし、最悪契約が破綻することも考えられます。

何か特別な事情のない限りは、値引き交渉はしないようが良いでしょう。それよりも、業者さんに物件価格の値引き交渉をお願いする方が得策です。

もしそれでも値引きをしたいという方がいましたら、最初から仲介手数料の値引きを謳っている業者に仲介をお願いした方が良いでしょう。

 

11.注意する必要のある不動産会社

悲しいことに、不動産業界には悪徳業者も混在していることは確かです。仲介手数料について、確認しておくべき点を列挙しておきます。

上限額以上の手数料を請求している

これは完全にアウトです。間違っていないか確認しても正してくれない場合は新しい不動産会社を探すか、契約を進めるべきではありません。後々大きな事件に繋がらないよう避けることにもなります。

上限額を法律により定められた全国一律の金額であると主張する

宅地建物取引士の資格を持っている方でも、勘違いしている場合があります。誤解を招く発言には注意して頂きたいですね。

仲介手数料以外に発生する費用を依頼者の確認なしに請求する

仲介業者が販促のために行う通常の広告費用は、仲介手数料に含まれています。別枠で広告費を請求することはできません。

例外的に、売主から特別に依頼した広告費用などは、売主への別途費用がかかる旨を事前に確認した上で、仲介業者が請求することができます。

依頼もなしに勝手に広告費を別に請求されているとしたら、それは悪徳業者の手法と言えます。知らず知らずの内に見積書の中に入っていないか十分気をつけましょう。

 

12.まとめ(仲介手数料の早見表つき)

いかがでしたでしょうか。最後までお読み頂き、ありがとうございます。

最後の締めくくりとして、仲介手数料の上限額の早見表を掲載しました。参考としてご覧下さい。

仲介手数料早見表

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