不動産投資のサブリースに潜む危険‐業者に騙される等のトラブルも

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サブリース契約で不動産業者に騙された男性

不動産業者がマンションやアパートのオーナーさんに、何やら耳寄りなお話が舞い込んできました。

「ウチにあなたが所有していらっしゃる物件をまとめて預けて頂ければ、家賃を30年間保証致します。もちろん空室の場合でも問題ありません。あなたは何もしなくても、継続的に家賃収入が見込めます。安定ですよね。唯一行って頂くのは、あなたの口座にお金が振り込まれているのを確認するだけです。

一見すると、非常に良さそうな内容に聞こえますが、実は思わぬ落とし穴が潜んでいます。

今回は、サブリース契約についての正しい知識を身に付け、不動産業者の謳い文句に惑わされることなく、自分で判断できるようになりましょう。

1.サブリース契約とは?

サブリースとは、持ち主から借りたものを他の方へ貸す、いわゆる又貸し・転貸借のことです。
不動産業者は、物件を所有しているオーナーと転貸借契約を結び、借りた物件を業者側で管理し、入居者と賃貸借契約を結びます。

オーナーと不動産業者が結ぶ契約をマスターリース契約、不動産業者と入居者が結ぶ契約をサブリース契約と呼びます。また、これら一連の流れのことをまとめてサブリースといいます。

また、オーナーは不動産業者に対象物件の運営・管理をしてもらう代わりに、賃料収入から一定の手数料を業者に支払い、残りの分を受け取ることになります。

一般には、賃料収入の10~20%を手数料として業者に支払います。

 

2.サブリース契約のメリット

サブリース契約にはそれぞれメリット・デメリットが存在します。まずはサブリース契約のメリットから見ていきましょう。

1.運用・管理の手間が省ける

賃貸の運営には、入居者の募集広告、賃貸借契約など入居者の入居手続き、入居者や隣人からのクレーム処理など、様々な業務があります。不動産の賃貸管理を個人で行うことは、なかなか大変なものです。

所有物件を不動産会社に預け、代わりに管理してもらえれば、これらの煩わしい手間が省け、自分の時間を確保することができます。本業をお持ちの方や自由な時間を確保したい方にとっては、非常に大きなメリットとなります。

2.知識がなくても運用ができる

賃貸物件の選定と管理は似ているようで別々の仕事になります。賃貸物件の運用・管理は業者に任せることになるため、知識がなくても不動産経営に挑戦できます。また、物件の売買だけに専念できるというメリットがあります。

3.空室リスクを防ぎ、中期的に安定した収入が得られる

通常、入居者がつかない限り、物件からは賃料収入が見込めません。このことを空室リスクと呼びますが、サブリースでは対象物件に空室が生じている場合でも、オーナーに賃料相当額の金額が支払われます。

したがって、安定した収入が得られ、月々の収支計画も立てやすくなります。
中期的と書いたのは、後述する将来の賃料減額の可能性があるからです。

 

3.サブリース契約のデメリット

続いて、サブリース契約のデメリットです。6つとメリットよりも多いですが、一つずつ見ていきましょう。

1.収入の減少

運営・管理をする必要がない分、オーナーは不動産会社に対して委託手数料を支払う必要があります。したがって、本来得られる賃料収入よりも減少します。

仮に年間の賃料収入が150万円、手数料フィーが20%だとすると、
150万円 × (1-0.2) = 合計120万円の収入になります。

この減少分の30万円を多く見るか少なく見るかは、あなた次第です。
やはり楽をする以上、お金を支払わなければならないのは仕方がありません。時間を取るか、お金を取るか判断しましょう。

2.募集期間による空室リスク

先ほど空室リスクは保証されると言いましたが、サブリース契約当初は保証されません。
不動産業者は契約を結んでから入居者の募集を開始します。募集の為の宣伝広告から実際に入居者が決まるまでには時間が必要なため、この期間を募集期間・免責期間として定めています。

募集期間の間、オーナーには賃料収入が一切入ってきません。期間の長さも契約によってまちまちで、長いものでは6ヵ月間もの免責期間を定めることがあります。
半年間収入が入って来ないということは、年間で半分の賃料収入の減少になります。期間の長さによっては大きな痛手となるでしょう。

3.将来の賃料減額

建物が古くなるにつれ、空室も目立つようになり、以前と同じ賃料で貸すことが難しくなってきます。もし自分で賃貸管理を行っていれば、賃料を下げるかどうかは個人の判断になります。

また、サブリース契約を結んでいる場合、不動産管理会社はオーナーに対し、賃料減額の交渉を迫ってきます。
対象物件のエリアで相当なニーズがなければ、将来的に賃料を下げざるを得ない状況になることは当然です。しかし、今までオーナーの経験がない方はこの点をあまり理解できておらず、30年間ずっと同じ賃料が保証されていると勘違いしてしまっている方が沢山いらっしゃいます。

この点は、業者の説明不足も否めないと感じます。メリットだけを伝え、デメリットを伝えない業者は信用できません。大手だからといって勢いや流れで契約を結ばず、慎重に検討しましょう。

4.敷金・礼金がもらえない

サブリース契約では、収入源の一つである敷金・礼金が手に入りません。

敷金に関しては、リフォーム費用に充てるという口実にしてくれていればまだ良いですが、礼金に関しては業者が取るものと理解しておきましょう。

5.不動産会社の倒産による収入減少・手間

このご時世、会社はいつ潰れてもおかしくありません。サブリースの相手側の業者が倒産してしまうことも十分にありえるわけです。
倒産する前のサインとしては、支払われるべき家賃の滞納です。業者からこの支払いが遅れていると、一度疑った方が良いでしょう。

また、倒産するということは、物件を管理してくれる人が誰もいなくなるということになりますので、新たに管理会社を探してサブリース契約を結ぶか、自分で管理しなければなりません。

6.誰が住んでいるのか知らされない

本来であれば、オーナーは入居者の情報を知り得る権利を持っていますが、契約の内容によっては情報の開示に応じないという特約を結ぶことができます。

この場合、オーナーが入居者の情報を入手することは難しく、自分の物件に誰が住んでいるのか分かりません。
このような事態を防ぐために、契約内容で入居者の情報のやり取りについてしっかりと確認しておきましょう。

 

4.クローズアップ現代の事例から見る問題点

NHK:クローズアップ現代の2015年5月11日の放送で、サブリース契約にかかわる問題が取り上げられていました。(参考:No.3648 アパート建築が止まらない~人口減少社会でなぜ~

内容を簡単に説明すると、不動産業者が地方に住む方へアパートのオーナーになることを勧め、一括借上げによるサブリースを提案。契約を結んだところまでは良いが、その後大きな空室リスクが生じ、結果賃料の減額をオーナーに要求。賃料減額は聞いていない、ローンの返済ができなくなるという理由で解約せざるを得ない方もいるとのことでした。

国民生活センターは、サブリースに関するトラブル相談が、少なくとも4年間で245件に上ることを明らかにしました。

このように多発するトラブルの原因は、業者の不十分な説明、需要がないにも関わらず営業トークでの押し売りが問題となっています。

 

5.不動産業者の宣伝文句の裏側

ここで、不動産業者が営業の為によく使用される宣伝文句をご紹介しましょう。

30年一括借上げの罠

「30年間一括借上げを行います。そのため、あなたは何もしなくても、長期的に安定した収入が入ります。」

このような宣伝文句がありますが、今の時代は大企業でも倒産してしまう時代です。30年間もの間、会社が存続する可能性は低いと言えるでしょう。

実は、30年間必ず借上げし続けてもらう為には、業者の要求に応え続けなければなりません。

賃料は下がらないというウソ

「当社では家賃保証を行っております。そのため、空室リスクが発生した場合でも、継続的に収入が見込めます。」

この宣伝文句は間違いではありません。しかし、勘違いしやすい内容となっています。
というのも、家賃保証と言われるものは、空室リスクの保証であって、家賃の金額を保証するものではないのです。
建物の経年経過やエリアの需要により、将来的な賃料の減少はほとんどの場合で避けられません。

サブリースの契約では、何年かに一度、設定している家賃の見直しを行うことになっているはずです。この見直しの際に、業者側から賃料減額の交渉を求められます。
オーナーがこの要求に応じないと、業者側から契約の解除を請求されることもあるのです。

では、どのようにすれば、サブリースにおけるトラブルは避けることができるのでしょうか。次の段落で、契約時に確認すべきポイントをいくつか挙げています。

 

6.契約時に確認すべきポイント

業者に言われるがまま契約をしてしまうと、後に後悔することになってしまいます。
最低でも契約内容の以下の点を、書面上で確認しておきましょう。

  • 手数料の割合(オーナーに支払う分が保証料という名称になっている場合もあります。)
  • 手数料(保証料)の見直し期間の長さ
  • 募集期間の長さ
  • 敷金・礼金の取り扱い
  • 更新料・違約金等の有無
  • 入居者の情報の取り扱い

以上のほか、特約欄は必ず確認するようにしましょう。なぜならサブリース契約において、特約欄にはオーナーに不利な条件が記述されている場合が多いのです。

少しでもおかしいと感じることがあれば、契約を踏みとどまり、落ち着いて検討しましょう。

 

7.まとめ

サブリース契約は、本業で忙しい方や遠方に住んでいる方にとっては、便利で利用価値のある契約です。
しかしながら、その内容を予め理解しておかないと、後にトラブル発生の原因となりうるのです。

不動産業界側の改善も期待されますが、悪質な業者に騙されないように、自分でも契約内容を把握した上で利用するようにしましょう。

 

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