相続税の節税対策前編~不動産投資で効果は期待できるのか検証

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不動産購入で相続税の節税対策?

不動産投資を考えている方でいらっしゃれば、不動産投資のメリットとして所得税や相続税の節税対策になるというお話を聞いたことがある方も多いでしょう。しかしながら、どうして不動産を購入することが節税対策になるのか、またどのくらい節税になるのか、はっきりと分かっていない方も多いのが現状です。

それもそのはず、税金関係の計算は内容が非常に難しく、専門家でなければ理解するのも投げ出したくなるぐらいのものとなっています。

でも、せっかく不動産投資を行うのであれば、不動産の購入によってなぜ相続税の税金対策になるのかできれば知っておきたいはず。実は正しい知識を身に付けておけば、現金で相続するよりも各段に節税効果があることが分かります。

そこで今回、賃貸アパートなどの投資用不動産を購入することによって、一体相続時にどれほどの節税効果があるのか、土地・家屋の評価額の計算方法など基礎から丁寧に、出来るだけ分かりやすく解説していきます。

1.更地の相続税評価額の計算方法

投資用不動産の土地家屋の評価額の計算をする為には、まず基準となる土地と家屋(建物)の計算方法を知っておく必要があります。評価の基準となる土地の計算方法には、路線価方式倍率方式の2種類の方法があり、基本的には路線価方式で評価額を算出します。

路線価方式の土地の評価額=

路線価 × 奥行価格補正率 × 地積(土地の面積)

路線価とは、道路に面している宅地の1平方メートル当たりの評価額のことで、相続税の評価額を出す際に基準となる価額となります。路線価の価額は、国税庁から毎年発表され、「路線価図」という路線価が記載されている地図もインターネット上に公表され、自由に見ることができます。地図上では、路線価のある場所に○千円と千円単位で表示されています。

土地の形状は土地によって様々ですので、奥行価格補正率という補正率を使い、形状によって異なる奥行価格補正率を掛けて調整を行います。標準の補正率を1.00とし、対象土地の地区や奥行距離の長さによって補正率が変わります。

一例として、路線価が250千円、奥行価格補正率が1.00、土地の面積が150m2の土地の場合、
250,000 × 1.00 × 150 =3750万円
となります。

路線価の計算方法が分かった所で、ここに節税のポイントが一つ隠されています。

この路線価、実質的に実勢価格(売買取引時における価格)の70%~80となっています。

恐らく、上記でご紹介した土地は、売買時に5000万円前後で購入されているはずです。

現金5000万円で課税されるよりも、3750万円で課税された方が良いですよね。

したがって、現金で相続するよりも、土地を購入して相続した方が20%~30%課税価額が少なくすみ、お得となるのです。

 

2.建物の評価額の計算方法

続いて、建物の相続税評価額の計算方法です。固定資産税評価額に1.0倍を掛けるのですが、これは固定資産税評価額と同じ価額であることを意味しています。

固定資産税評価額は固定資産評価基準にもとづいて、知事または市町村長が決定し、所有者の住所に「固定資産税通知書」という通知書が送られてきます。この通知書の評価額欄に、建物の固定資産税評価額が記載されています。

また、固定資産税評価額は実勢価格の60%~70となっています。第二の節税ポイントですね。

建物の購入価格が5000万円だったとすると、相続税での評価額は実勢価格の65%で計算して3250万円となります。

このように建物も同じく、30%~40%控除され、節税効果が出ているのを見てとれるでしょう。

固定資産税についてより詳しい内容を知りたい方は、「不動産の固定資産税の計算方法と節税対策のマメ知識」をご覧ください。

 

3.投資用不動産(土地)の相続税評価額の計算方法

土地・建物の基本的な相続税評価額の計算方法が分かったところで、本題の投資用不動産の計算方法に入ります。

3-1.賃貸物件土地の相続税評価額の計算方法(貸家建付地)

賃貸用不動産の土地は、貸家建付地と呼ばれます。

貸家建付地の条件は、土地・家屋(建物)の両方を所有している場合で、さらに家屋を貸している場合となります。投資用不動産を購入し、賃貸経営を始めたらこの条件はクリアすることになるでしょう。

貸家建付地の評価額は、土地の評価額に借地権割合、借家権割合、賃貸割合を掛けたものを土地の評価額から差し引いたものとなります。

この割合分だけ相続税評価額が低くなり、節税効果が期待できます。

計算式
土地の評価額 - 土地の評価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合

または
土地の評価額 ×(1 - 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)

借地権割合は、借り手に土地を貸している分、貸し手がその土地を自由に扱うことができないものとして、ある一定の割合を設定したものとなります。商業地などでは他の地域より有効に土地を活用できるので、借地権割合は高く設定されており、その分だけ多く相続税の評価から控除することができます。

借家権割合は建物の賃借に関するもので、内容は借地権割合と同様です。

借地権・借家権の割合は地域によって異なりますが、一般的な借地権割合は60~80%、借家権割合はほとんどの地域が30%を採用しています(一部地域では40%)。

賃貸割合について、賃貸として使用される部分と独立した部分があったり、空室が長期間続いているなどの場合を除き、1.0倍で計算します。

段落1から出した評価額を使い、貸家建付地の相続税評価額の一例を出してみます。

借地権割合が70%、借家権割合が30%、賃貸割合が1.0倍の場合、

3750 - 3750 × 70% × 30% × 1.0
=2962万5000円となります。

賃貸物件としての評価額は、更地の評価額よりなんと21%も得をすることになります。

 

3-2.賃貸建物の相続税評価額の計算方法(貸家)

賃貸建物の場合、借地権割合の計算がなくなります。対象建物(家屋)の固定資産税評価額から、借家権割合と賃貸割合分を差し引いた額になります。

計算式
建物の固定資産税評価額-建物の固定資産税評価額×借家権割合×賃貸割合

または
建物の固定資産税評価額 ×(1 - 借家権割合 × 賃貸割合)

段落2の固定資産税評価額を使用し、借家権割合が30%、賃貸割合が1.0倍とすると、

3250 - 3250 × 30% ×1.0
=2275万円となります。

投資用不動産では、賃貸経営を行っていない建物よりも約30%、評価の対象となる価額が低くなる可能性があるのです。

 

3-3.駐車場の場合は?

マンションやアパートを建設して賃貸経営を行う他に、土地の活用方法として駐車場経営があります。

駐車場として土地を貸している場合の相続税評価はどのようになるのでしょうか。土地を他者に貸しているのだから、何らかの措置を受けられても良いのではないかと思いますよね。

国税庁は、土地をそのままの状態で駐車場を経営することは、土地を利用した賃貸借契約と認められないという見解を出しています。じゃり敷きの土地で駐車場経営を行っても特に軽減措置は受けられず、路線価に奥行価格補正率と土地面積を掛けた評価額となります。

しかし、「貸付事業用宅地等」として対象の駐車場が認められ、小規模宅地等の特例の対象に当てはまれば、評価減の可能性があります。

貸付事業用宅地として駐車場が認められる為の要件は、土地の上に一定の構築物が必要となっています。

この構築物とは何なのか、具体的にははっきりとされていません。一般には敷地の全部がアスファルト舗装されていれば当てはまるようですが、個人で判断するのではなく、専門家の方に相談した方が安心できます。

また、貸付事業用宅地等のもう一つの要件として、相当の対価性・貸付業務の継続性が必要となります。

 

まとめ

不動産賃貸経営を行うことにより、現金でそのまま相続するよりも相続税の節税効果が期待できることがお分かり頂けたかと思います。

実は、最後の段落で触れた「小規模宅地等の特例」の条件に当てはまれば、一定の土地面積に対し更に軽減措置を受けられる可能性があります。

次回、機会があればこの小規模宅地等の特例についても解説致しますので、ご覧頂ければ幸いです。

 

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