在職老齢年金は気を付けないと減額される!定年後も働くデメリット

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在職老齢年金制度で頭を抱える老人

60歳で定年退職。そんな時代も今や昔。現在は60歳を過ぎても元気に働ける体を持っている方が多いですし、会社側も喜んで?受け入れる体制になっています。

今退職するよりも、もう少し働いて老後の年金の足しにしよう!と定年後も仕事に励もうと思っている方も多いのではないでしょうか。

ところが、定年後に会社から受け取る給料が多いと、年金の受給額がゼロになる可能性があるのです!

それが、「在職老齢年金」制度と呼ばれるものです。

後に泣き寝入りすることのないように、在職老齢年金とは何なのか、高齢者の就業率の推移と共に理解しておきましょう。

1.60歳以上の就業率は年々増加している

次のグラフは60歳以上70歳未満の方の就業率の推移を表したものです。ご覧の通り、全てのグラフが年々上昇傾向にあります。

60歳から64歳の男性のデータでは、2007年から就業率が70%を超える数値を維持しており、65歳から69歳のデータでは、ついに50%の半数を超えました。

この結果の原因は、2013年4月から厚生労働省の「高年齢者雇用安定法の改正」により、希望する従業員が65歳まで働けるようになった背景もあるでしょう。

65歳まで働くのはもはや当たり前、そのうち70歳まで働くことが出来るようになれば、さらに高齢者の就業率は伸びていく可能性があります。

年齢階級別就業率の推移参考:総務省労働力調査(基本集計)平成26年(2014年)平均(速報)結果の概要

 

2.在職老齢年金とは?

このように高齢の労働者が増加する一方で、働く意欲をそぐ事態が発生しています。

その名も「在職老齢年金」制度。60歳以降も働き続けると、受け取る給与額によっては年金受給額が受け取れない、または減額される可能性があります

具体的には、現在在職中で「老齢厚生年金」を受け取る資格のある方が、老齢厚生年金額と賃金との合計が一定の基準を超えると、超えた額に応じて年金額が調整(一部停止若しくは全部停止)されます。「老齢基礎年金」部分は減らされません。

そんなのズルい!こっちは一生懸命働いているのに年金を減額されるなんて!と思う気持ちは分かります。しかし、年金制度が存在する理由として、老齢化などにより自分で収入を稼ぎ出すことが不可能になった場合の所得を保障するためにあるものなのです。支払った保険料を積み立てる制度ではありません。

60歳を越えても働く体力があるということは、自分で収入を得られる能力があると判断されるため、年金を支払う必要がないと判断されても致し方ないのです。

問題なのは、この制度を知らずに一生懸命働いてしまっている方です。

仕事が好きで働いているのなら問題はないかも知れませんが、もっと働いて老後の収入を増やそうと考えていた方、働き過ぎると逆に損することもありますので注意が必要です。

 

3.在職老齢年金は誰が対象?

在職老齢年金制度は厚生年金保険に加入している方(被保険者)が対象者となります。ということは、厚生年金保険の被保険者となる方の条件を知る必要があります。

対象者は、「臨時に使用される人や季節的業務に使用される人を除いて、就業規則や労働契約などに定められた通常の社員の所定労働時間及び所定労働日数のおおむね4分の3以上ある従業員」です。

なお、この場合の従業員は、正社員、契約社員、パートタイマー、アルバイトなどの名称を問わず、事業所に雇用される人すべてを含みます。(日本年金機構 年金Q&A)」

このことから、

  • 60歳を過ぎた後働かない人
  • 自営業や個人事業主として働く人
  • 通常の社員の労働時間・労働日数の4分の3未満の範囲で働く人

は厚生年金保険に加入する必要がなく、在職老齢年金制度の対象外となります。
通常通り正社員として働く人は、気を付けなければなりません。

 

4.60歳~64歳、65歳以上で計算方法が異なる

いくら稼げばいくら減るのか、という具体的な計算方法は、年齢によって計算方法が変わります。

これは恐らく、受給開始時期が最終的に65歳に落ち着くように、段階的に引き上げられていることが影響しているのでしょう。(日本年金機構「厚生年金の支給開始年齢」)

このため、男性であれば昭和36年4月2日以後に生まれた方女性であれば昭和41年4月2日以後に生まれた方は、特別支給の老齢厚生年金を受け取ることが出来ないので、1番は見る必要がありません。2番をご覧いただければと思います。

4-1.60歳~64歳の在職老齢年金の仕組み

※平成27年12月16日現在の日付を元に対象年齢を記載しています。

対象年齢:
男性:昭和26年4月2日~昭和36年4月1日に生まれた方
女性:昭和31年4月2日~昭和41年4月1日に生まれた方

ポイント

  • 一か月分の年金(基本月額)と平均月収(総報酬月額相当額。毎月の給料+1年間の賞与の12分の1)それぞれの金額・合計額によって判断される
  • 基本月額と平均月収の合計が28万円以下なら減額なしの全額支給、それ以上なら減額の対象
  • 基本月額が28万円以下/超える、平均月収が47万円以下/超えるによりそれぞれ計算方法が異なる

※詳しくは、「日本年金機構 在職老齢年金の支給停止の仕組み」をご覧下さい。

4-2.65歳以上の在職老齢年金の仕組み

対象年齢:
男性:昭和36年4月2日以後に生まれた方
女性:昭和41年4月2日以後に生まれた方

ポイント

  • 基本月額と平均月収(総報酬月額相当額)の合計額が47万円以下の場合、減額なしの全額支給
  • 基本月額と平均月収の合計額が47万円を超える場合
    (平均月収+基本月額-47万円)×1/2×12=支給年金の減少額

 

5.まとめ

働き過ぎると減額されてしまうという残念な制度ですが、逆に知っておくことで年金の減額を避けることも出来ますし、後になってショックを受けることもなくなります。

今回はご紹介出来ませんでしたが、雇用保険の「高年齢雇用継続給付」についても合わせて確認したいところです。この給付金を受け取るかどうかによっても年金の支給額が変わる場合があります。

 

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